痛い在宅医
私は父を在宅医療で見送っています。父がすい臓がんになったと聞いてから、「どのような死に方がいいのか」を父と話し合い、家族と話し合い、「在宅で来るべき時を迎えよう」と結論を出しました。
でも現実は厳しかった。症状の緩和やあらかじめ処方された薬で鎮痛がうまくいかなかった時、家族の精神状態の不安定なるなど、次から次へと問題が発生します。
しかし在宅医療は緩和ケアと違い、ナースステーションが隣にあるわけではありません。不安なときに連絡してもすぐに返答が得られず、父にも随分辛い思いをさせてしまいました。
今思えば、医療チームからもっと「予測と対策」を教えてもらえていればあんなにバタバタしなかったと思います。
この思いは私の中でずっとくすぶっていて、「本当にこれで良かったのか。。。」と考えても仕方ないことをグルグルと考えてしまっていました。
この『痛い在宅医』はかなりリアルに在宅医療を書き出されています。お父様を在宅医療で亡くした娘さんが、長尾医師と対談する形で書かれています。
読んでる最中、父のことを思い出して何度も胸が詰まり、自分の無力さも、あの時の辛さも思い出しました。
そして読み終わったときに、「医療チームは未熟だった。自分は覚悟が足りなかった」と痛感しました。
メディアでは「在宅医療は良い!」と盛んに言っています。在宅医療に関する美談も沢山見ます。でも、現実を報道されたものはほとんど見たことがありません。
国で在宅医療は推進されています。しかしながら、本当にそれを支えられる医療チームが対応できる数ほど存在するのか?どんな医療チームでも大丈夫なのか?
これは私たちが知る必要がある現実です。
「痛い在宅医」では「正しい在宅医選び10カ条」が書かれていて参考になりました。
とてもおすすめする本です。ぜひ読んでください