テーマは「三叉神経の基礎と臨床」です
帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科の久島先生がご講義、実技をしてくださいました。
三叉神経とは顔から頭頂部までの皮膚、眼球、副鼻腔、鼻腔、口腔粘膜や脳の中の硬膜の感覚を伝え、かつ咀嚼や鼓膜張筋などの運動をさせる神経です。
名前の通り、三つに分れている神経で、眉毛の近くに第1枝、鼻の外側に第2枝、下顎から第3枝が出てきます。
そしてこの第1枝、第2枝を鍼で刺激すると、脳の前頭前野の血流が大きくアップすると言うことが分かりました。
前頭前野とは脳の中でも前に位置し、脳の活動性の調節を行う場所で、抑うつ傾向の方や認知症の方はこの前頭前野の血流が悪く、活動性が少ないことは分かっています
このことから、三叉神経の第1枝領域と、第2枝領域への鍼刺激が神経内科領域の病態に対し、効果的に作用する可能生が非常に高くなってきました。
ちなみに顔面の眉毛と生え際、鼻の外側に鍼をすることによって、3つの変化が見られました。
1。鍼刺激中に副交感神経が亢進されて、心拍数を減少させた。
2。鍼刺激中に両側前頭前野の脳血流を増加させた。
3。刺激後に覚醒度が向上し、計算の正答数を増加させた。
これはすごい基礎研究です。私たち鍼灸師は顔面や頭皮の鍼をすることによって、患者さんの意識がハッキリして、お顔もスッキリさせる場面によく出会います。これが科学的に肉付けされてきたと言うことになります。
そして、「なぜ三叉神経領域に鍼をすると前頭前野の血流が増加するのか」を人の発生学になぞらえて、丁寧に教えていただきました
日々の臨床に非常に使えるアイデアを沢山いただきました
抑うつ傾向、認知症、偏頭痛など、脳の動きに関する症状で良い傾向が出ているそうです。
私もみなさんのお力になれますよう、精一杯頑張ります