2019年08月06日

『がんを抱えて、自分らしく生きたいーがんと共に生きた人が緩和ケア医に伝えた10の言葉ー』を読みました。

 川崎市立井田病院の西智弘先生が書かれた『がんを抱えて、自分らしく生きたいーがんと共に生きた人が緩和ケア医に伝えた10の言葉ー』を読みました。
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 西先生を知ったのは武蔵小杉に西先生が理事をされている「暮らしの保健室」という相談所がきっかけです。→ https://www.kosugipluscare.com

 私も開業する際に「健康について気軽に相談できる治療室にしたい」という想いがあり、「暮らしの保健室」と共通する部分もあったので興味がありました

 西先生が行われているのは、まさに「寄り添う医療」。手術が難しく、根治が困難になった患者さんに対して、「患者さんがどう生きたいか」をよく話し合い、患者さんが主人公の人生をサポートしてくれます。

 「緩和ケアは終末期だけの医療ではなく、がんと診断された時点で受けられる医療だ」という西先生の想いは、根治が難しい患者さんにとって、とても心強い言葉です。
 私も父が「難しい病気」に襲われたとき、本人も家族である私も先の見えない暗いトンネルに入ったようにひたすら右往左往し、絶望と少しの希望とでとても苦しい日々を過ごしました。
 
 特に難しいのは患者とその家族の関係です。
 私の場合は「家族が亡くなるのは辛くて耐えられない。でも、積極的な治療にこだわって痛い思いはさせたくない。」のループにはまって心はグチャグチャ。
 患者であった父は「病気になって申し訳ない。生きていたい。家族に迷惑かけたくない。残した家族が心配だ。でも痛くなく静かに死にたい」と話していました。

 家族の私と父の思いは少しずれています。これは立場が違うので当たり前です。本来であれば家族のことは抜きにして「本人の希望」に沿って治療されるべきなのに、「家族の希望」が入ることで治療方針がブレる可能性があります。家族は特に心の辛さを「善意」に置き換え、患者本人への干渉をしすぎることがあります。私も、自分の思いと父の願いを整理するのに大変でした。こんなとき、第3者の人がサポートにいたらどれだけ心強かったか!

 父がかかった病院の医師や看護師さんたちは激務で時間を取ってもらうことは難しい状況でした。そして私も「どう頼ればいいのか。」が分かりませんでした。
『がんを抱えて、自分らしく生きたい』を読んで、「こういう風に頼れば良かったのか」と、具体的な相談方法が見えてきました

 大切なのは「最後まで自分の人生は自分で生きる。家族や医療者が決めることではない。」ということ。いざという時に冷静に、大切な時間を充実して過ごすために、元気な時から読みたい本です。

 そしてこの本で西先生が紹介している最後の患者さんの言葉。これは私が常日頃「こういう風に人生を閉じたい」と思っている言葉と重なっていてびっくりしました!

 ぜひみなさんも読んでみてください。

 
posted by 本間ようこ at 10:13| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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