2017年05月02日

御高診願い

 鍼灸マッサージ師が医療人として行ってはならないこと。それは『患者様の状態を無視した抱え込み』です。

 私たち鍼灸マッサージ師は病気の「診断」はできません。しかしながら問診と手を使った検査法で原因のかなり近いところまで推測することができます。そして、中には病院で行うよりも正確な推測になることもあるのです。

 なぜなら私たちは必ず患者様の動きを触って、確かめて、痛みの原因を推測するからなのです。病院の中には全く触らずに簡単な問診をして、すぐにレントゲンやMRIをとって診断してしまう病院があります。
 
 人間は加齢によって骨が変形したり、筋肉が萎縮するのは当たり前です。でも、同じように骨の変形、筋肉の萎縮がある人でも痛みが出る人と、出ない人がいます。これは何故か??この答えは残念ながらレントゲンやMRIにはありません。患者様の体全体を触診し、お話をよく聞かなければ分からないのです。

 反対に、鍼灸マッサージが抱え込まずに、すぐに病院に紹介するべきケースもあります。それは、痛みが増悪するケース、中枢神経の障害が考えられるケース、寝ていても患部が痛いケースです。このようなケースの場合、生命を脅かす内科疾患が隠れている場合や、手術が必要な場合があり、鍼灸を続けて免疫を上げるためにも一度検査を受けていただかなければなりません。

 あまね鍼灸マッサージ室では、状況に応じて他の医療機関と連携をとり、患者様にとって一番良い方法をおすすめしています。紹介状、御高診願いも必要に応じ用意し、患者様が次の医療機関でスムーズに治療が受けられる準備をいたします。
 何よりも今、辛いことを少しでも楽にして差し上げることが私の使命と考えています。

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posted by 本間ようこ at 22:41| Comment(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月29日

人生の終末期を考えよう

先日、横浜市医師会が主催した『人生の終末期を考えよう』というシンポジウムに参加して来ました。
 先着280名でしたが、会場は満席で関心の高さが伺えました。
 5名のシンポジスト(大病院医師・在宅医師・弁護士・看護師・特養)により、それぞれの立場から「どのような終末期を選択するのか」という意見が発表されました。

 5名の方々の共通する意見としてあげられたのは「ACPアドバンス・ケア・プランニング(事前ケア計画)」を作っておこうというものでした。
 『ACP』とは将来の状態変化に備えて、患者・家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養の方法を話し合うプロセスのことです。これには「心肺蘇生などの延命処置を行わない」などを指示する、『リビングウィル・事前意思表明書』を含みます。
 医療決定に関する「リビングウィル」の実践は日本ではたったの1%しかないそうです。それと比較してアメリカは40%・ドイツは12%と、文化の違いはありますが、どのように死を迎えるかということを先進国はよく考えている結果でしょう。

 まず、日本人の平均寿命は男性が80.2歳、女性が86.6歳です。それに対して、介護を必要とせず自立できる健康寿命は男性が70.6歳、女性が75.5歳。つまり、男女とも約10年間は何らかの形で介護を受けているという現状です。

 次に、終末期の療養場所についてアンケートを取ったところ、約6割が何らかの形で自宅を希望していますが、横浜市では7割の方が病院で息を引き取り、自宅とその他施設で亡くなった方を大きく上回っています。
 一方、病院側でも2025年にはリハビリや在宅復帰に向けた医療のためのベッドが大幅に不足すると予測され、横浜市としても在宅医療の環境整備をどんどん進めていきたいとのことでした。

 さて、医療機関でも、在宅療養でも亡くなる原因の1位は「がん」でした。そして「がん」の特徴として他の病気と比べて比較的長い間、体力や機能が保たれ、最期の2ヶ月くらいで体力が急速に低下します。どのような症状が出るかというと、・動けなくなる・食べられなくなる・飲めなくなる・話ができなくなる・眠る時間が増えるなどです。
 この時期に入ってくると医療が有効な場面が減っていきます。
・輸液(点滴)の必要がなくなる
・薬を中止する
・身体の変化を理解し、過剰な反応はしないようにする
・その人の思いを受け止めていくということが中心になります。

 しかしながら、終末期を向けて様々な選択・判断・決定が迫られます。その時にご本人があらかじめ意志を家族・医療者・介護者と共有しておけば混乱が避けられます。そして書面に残しておき、その都度見直しておけば焦らず過ごしていけます。

 では、どのように書面に残していくのか。まず、ポイントは患者様に関わる人々がすぐ共有できるよう、患者様の枕元にノートを置くことがポイントだそうです。そして書く内容は「知っておいてほしいこと」何でも良いそうです。
例を挙げると
・終末期に向けて私が大切にしたいこと。(例えば来春の息子の卒業式を見たい・なるべくトイレを使いたい・孫の教育のためのお金を私に使って欲しくない・・・など)
・これはして欲しくないということ。(入院したくない・痛い検査はしたくない・・・など)
・心配なこと・困っていること。(家族のこと・経済的なこと・・・など)
・医師からの説明を一緒に聞いてほしい人
・自分で決めるのが難しくなった時、自分に代わって決めてくれる人
・日記や自分の思い(家族に向けての感謝の思い・・・など)

今は書店でエンディングノートが販売されていますが、オススメとして「私の生き方連絡ノート」(発売元は有限会社EDITEX)をあげられていました。もちろんまっさらな大学ノートに書く方も沢山いらっしゃいます。

 今回のシンポジウムに参加して、私もエンディングノートを書いてみようと思いました。おそらくこれを書くにあたって、1日1日を大切にしよう、家族や友人を大切にしよういう気持ちと、自分が何をすべきかが見えてくると思います。
 
 自分がどのように生きるか、何をするべきか。これを文書に残していくことは自分や周囲の人々にとって、終末期を迎えても「生きていくための財産」に変わるように思いました。

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posted by 本間ようこ at 13:01| Comment(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月04日

「変わりたい」を引き出す(依存症セミナー)

先日「依存症」のセミナーで勉強して来ました。
依存症という言葉自体はもう古い言葉で、現在では「物質使用障害」と言い換えられます。これを私たちが思いつきそうな言葉にさらに変えていくと「アルコール中毒」「タバコ中毒」「インターネット中毒」「ゲーム中毒」などが挙げられます。
物質使用障害は「コントロールできない」「有害なことがあっても使う」「他のことを犠牲にする」という3つがあるといわゆる依存しているということになります。
 どのような機序で依存になるのかというと、中毒物質が脳内報酬系という食行動や性行動などの本能的快感をもたらし行動の継続、種の保存を測る回路を乗っ取ってしまい、自分でやめるコントロールができなくなってしまうのです😞
 この脳内報酬系の回路が乗っ取られると、条件反射で使いたくなってしまいます。例えば、パブロフの犬のようにです。

 そして最近急増しているのがインターネットゲームの使用障害です。正確な統計は出ていませんが、おそらく日本国中に51万人ほどいるであろうと考えられています。しかも青少年を中心にです。💧よく聞くアルコール依存症が約100万人といわれていますので、非常に多いのだと気づかれると思います。

インターネットゲームの使用中毒は心の成長の妨げになります。
・物質・行動ですぐに気分が変わってしまう。
・待てない
・人間関係からの逃避
・自己評価の低下
💥衝動的・反社会的になっていく。インターネットは犯罪の温床であり、危険である一方、コミュニケーションや情報蒐集の必需品で「やめなさい」とは言いづらい。そしてスマホとゲームは強いブルーライトが出ており、脳が昼間と錯覚し、睡眠障害を引き起こす。

そこで行政もスマホ使用の制限に自治体が取り掛かった。例えば愛知県は夜9時以降は保護者がスマホを預かるなど、罰はないが各家庭が取り扱いやすいようにしている。
予防としてはしっかり約束をすることが大切である。

そして具体的な面接法を教わった。基本はよく褒めることだ。やめることに失敗するのが当たり前で、失敗したら一から一緒にやろうという声かけが大切ということでした。

 鍼灸に来院される患者様は体の不調だけでなく、心の不調を訴えることも多い。そんな時に助けになることが少しでもできたなら。そう思って鍼療しています。

闘病中の方々、それを支える家族の皆様が今日も充実した一日を送れますように。
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posted by 本間ようこ at 01:14| Comment(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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